われらがドラゴンズのシーズンがいよいよ始まります。
そんなわけで野球関連の本を連続で紹介、今回は最後の200勝投手!?
投げるラジコンレーサー、山本昌選手の「133キロ怪速球」です。
2008年にプロ野球史上24人目の200勝投手となったベテラン左腕・山本昌投手。
MAX130km/h台と元オリックス・星野投手と双璧をなす遅球投手として
ファンから「なんであれが打てんの?」という台詞とともに親しまれていますが
右打者の外角に逃げるスクリューボールとカーブ・スライダーのコンビネーション
そして時折ずばっとコーナーを突く133km/hの怪速球で打者を手玉にとり
これまでに205個の勝ち星を積み上げてきました。
さらにノーヒットノーラン1回、最多勝3度、最優秀防御率1度、沢村賞1度と
ドラゴンズ歴代投手の中でもトップクラスの成績を残しています。
そんな山本昌投手ですが入団当初から大活躍!というわけではなく
ドラフト下位指名でドラゴンズに入ったもののプロ入り数年は鳴かず飛ばずで
クビ寸前だった筆者が88年の米国への野球留学をきっかけに
球界を代表する左腕になったのは有名な話です。
180cmを超える巨体で体格にはめぐまれていたものの
股関節が外向きで、ひざが外に割れているため
ボールに球速が出ないという欠点を抱えていました。
山本昌本人も本書で「自分はいつクビになってもおかしくなかった」と書いています。
しかし、その下半身のおかげで米国留学中に会得したスクリューボールはうまく抜け
全盛期には打者から消えるとまで言われた魔球につながったということで
世の中どこにチャンスが転がっているのか分かりませんね。
また、決して才能に恵まれたわけではなかった山本昌投手がここまでやってこれたのは
野球に対して非常に真面目に取り組み、どうすればこの世界で生き残っていけるかを
冷静に認識しながら努力していった結果だと思います。
そんな山本昌投手、人間的にも素晴らしく感謝の念を忘れない人であると言えます。
これまでに出会った恩師、特にアイク生原さんやワールドウィング小山裕史さん
そして歴代の監督(星野仙一、高木守道、山田久志、落合博満)たちについても
お礼の言葉をこの本の中で述べています。
ジャーマンが自分の著書(野村監督に教わったこと)で
自分を冷遇した山田・伊原両監督についてブー垂れていたのとは対象的ですね。
さらに同僚の近藤真一、今中慎二についても
「今の自分があるのは彼らのおかげ」と書いています。
特に近藤真一については後輩ながらも同じ左腕で
いきなりノーヒットノーランデビューということもあって
彼のせいでもう自分はこのチームに居場所が無くなったな、と思ったそうです。
その後近藤は怪我に泣き野球人としては短命に終わり
結果としては山本昌が勝ったわけですが
そんな相手にまで自身の著書で感謝する山本昌のいい人っぷりに脱帽です。
本書を通して批判や愚痴、恨み言の類は一切無く
一流のスポーツ選手はやはり人間的にも素晴らしいのだな、と思わせる本です。
2010年のシーズンは怪我で出遅れてしまいどうやら開幕ローテは無理っぽいですが
早く復活してまたマウンドに戻ってきて欲しいですね。
そして日本シリーズで念願の一勝を!たのんます!